そうな予感しかないです」「(笑)。分かりました。では行きましょう」駅からの道はとても静かだった。それでもパッと見で空き家と分かる家は少なく、通りには人の営みがしっかり感じられた。聞けば金浦のあるにかほ市には製造業やエレクトロニクス産業が根付いていて、財政力指数も県内上位。人口は減少しているものの、そのペースは比較的緩やからしい。「雪国なのに、ここは瓦屋根の家が多いですね」「このエリアは海辺で風が強いこともあって、そんなに積雪量が多くないんです。だから内陸部より瓦屋根の家が多いんだと思いますよ。さ、着きました」白瀬矗の生家は浄蓮寺というお寺だった。境内には白瀬の墓と銅像、ペンギン像が立ち、その周囲は気持ちいいくらいきれいに清掃されていた。「まさかお寺の子だったとは」「幼い頃から探検家をめざしていた白瀬は、僧職を継ぐと探検ができなくなるという理由で軍人になったそうです」「偉人がこの場所からはるか海の向こうを見据えていたと思うと、感慨深いものがありますね」浄蓮寺をあとにした私たちが次に向かったのは勢至公園。ルート上にあった老舗菓子店、人気の焼き鳥店に寄り道しながら歩いたこともあって、徒歩10分の道のりはまったく苦にならなかった。「菓子店の主人、焼き鳥店で並んでいた常連さんと少し話したんですが、この街にはウエルカムな空気が流れていますね」「大手メーカーの工場などがあり、転勤で入ってくる人が少なくない街ですから。新顔を迎え入れることに慣れている人が多金浦駅浄蓮寺小池菓子舗32119 老舗菓子店に寄り道白瀬矗の生家へ鈴木さんと合流
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