く、実際コミュニティーも開放的ですよ」「いい街です」桜の名所としても知られる勢至公園は、観音潟の水面に逆さ富士ならぬ逆さ鳥海が映える市民の憩いの場。この場所と近隣の金浦山神社には合わせて33体の観音石仏が建立されていて、各石仏の足元には西国三十三札所の土が埋められているそうだ。信仰心の強い土地柄なのだろう。私たちが訪れた時期はちょうど白鳥の飛来シーズン。地元の人でもめったにお目にかかれないという、長旅を終えた鳥たちの着水シーンを見ることができたのはラッキーだった。「ところでオットーさんは、オペラを生で聴いたことはありますか?」「なんですか突然。日本に移住する前、何度かオペラハウスに足を運んだことはありますけど……まさか金浦に?」「あるんですよ、オペラを聴けるパン屋が」「オペラを聴けるパン屋?!」そんなコントのような、なぞなぞのような会話を繰り広げながら向かった先にあったのは、たしかにオペラを聴けるパン屋。オランダ出身のシェフと秋田県出身の奥様が営むベーカリー&ビストロで美味サンドをいただきながら、海外に音楽留学をした経験を持つ奥様のオペラを聴くひとときは、控えめに言って最高だった。この日のフィナーレは、県内屈指の水揚げ量を誇る金浦漁港と、その近くの灯台から見た壮大な夕景。刻一刻と色合いを変える空にカメラを向けながら、私はとても密度の濃い時間を過ごした実感に包まれていた。金浦、また来たい。漁業協同組合金浦港灯台CRUST98721 いつまでも見ていたい風景毎月朝市も開催される漁協オペラを聴けるパン屋
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