Otto Vol.18
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「ここが『あぶない刑事』の舞台なんだ!」今から34年前の1992年の春、進学で上京したおじさんが真っ先に訪れたのは横浜市の港近くにある山下公園。今で言う聖地巡礼であり、おじさんは『あぶない刑事』の大ファンだった。放送開始は『太陽にほえろ』や『西部警察』などの名作刑事ドラマが、お笑い番組などでパロディになるくらいの時間が経過した80年代後半。横浜港署捜査課で活躍するタカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)の刑事を中心とするアクションもので、軽薄な刑事という演出に新しい時代を感じた。あっという間に人気ドラマとなった本作で思い出すことがいくつかある。ひとつは通っていた中学校で黒いロングコートが大流行したこと。聞くと近隣の中学校でも流行っていたらしい。タカやユージが格好良く着ていたので間違いなく『あぶない刑事』の影響だろう。もうひとつは柴田恭兵の大ファンと思われる、ユージそっくりな格好で秋田駅周辺を闊歩するお兄さんがいたことである。たまの同窓会でも話題にのぼるほど我々世代には強烈な印象を残している。そんな社会を巻き込むブームとなった『あぶない刑事』は高視聴率を続け、ついに映画へ。ドラマはその人気が凄まじかったことは想像に難くない。その後様々な続編が制作され、38年も続く伝説的作品となり、ついに昨年2024年に最終作『帰ってきたあぶない刑事』が公開された。齢70歳を超えたお二人の円熟味たっぷりの名演。加えていまや名俳優となった脇役達の楽しそうに演じるお姿。そして若者に次代のバトンをしっかり渡す素晴らしい物語で、我々ファンにとって最高のプレゼントになった。映画を観終わった時、主演のお二人は最後の銀幕スターではないだろうかとふと思った。もちろん名俳優は新旧含めて多くの方がいらっしゃるが、昭和のスターには独特の輝きがある。最後に港のシーンでよく聞いた「プアプアプア」と短く3回続く汽笛を当時現地で聞いて感動した。意味は「機関の後進」。そんな汽笛をファンのために前進を続けた本作に贈ります。長い間楽しませていただき、ありがとうございました。(編集部N)29           10月に終了、12月には劇場版が公開されているので、1986年10月に放送開始したTVドラマの劇場版第1作。制癌剤の開発競争でしのぎを削る製薬会社を舞台にした殺人事件が発生。不可解な株価操作で莫大な利益を得た人物を、独自の捜査で追い詰めるタカとユージの活躍を描く。「あぶない刑事」 Blu-ray&DVD 発売中Blu-ray:3,300円(税込)DVD:3,080円(税込)発売・販売:東映ビデオ ©東映・日本テレビAmazon Prime Video/Netflix/U-NEXTHULU/DMM TV 他にて配信中です。あぶない刑 事18MOVIE COLUMN

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