昭和の親父列伝えちぜんやきよしおうか() 「かれこれ60年以上続けている。もう人生の一部だね」工作好きの父親に影響を受け、物心がついた頃から木の模型や、プラモデルを作り続けているという越前谷潔さん。模型コンテスト上位入賞の常連で、モデラーには憧れの存在だ。自身を製作に駆り立ててきたのは、かつて父親からかけられた「設計図通り組み立てるだけのものに、価値などない」という一言。「悔しくてね。それからかな、どこまでもリアリティーを追求したり、プラモデルの地位を高めようと個展を開いたりするようになったのは」手に使いながら、年間およそ20個の製作ペースを維持している。「最近は雑誌やイベント向けの製作依頼が増えて、自分用に作ったものはほとんどないかな。コレクションが増えない寂しさはあるけど、完成に至るプロセスで毎回新しい発見があるから。やめられないよ」そう言って作業台に向かう横顔に、充実感がにじむ。燃え尽き症候群などどこ吹く風。セカンドライフを謳歌する昭和の親父が、そこにいた。編集部プロモデラー越前谷潔さん時代を築いた顔に会いにいく1960歳を過ぎた今でも時間と体力を上
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