★生東誕海の林地太郎な段数で、運動不足の身には正直こたえた。「オットーさん、階段を登ってくるとき、ずっと足元を見ていましたね。じゃあ次は、遠くを見てください」振り返ってカズさんの指さす方向4に目をやると、海こそ見えないものの、oh!以前、雑誌か何かで見た尾道、長崎に通ずる日本的で美しい景色が広がっていた。日が昇る方角だから、早朝なら一層感動が増すだろう。「Y字路や三差路で自分が選んだ道によって先の景色が変わったり、突き当たりに思えた道が、そうではなかったり。登り切って振り返ったとき、苦労が報われた、歩いて来た道は決して無駄じゃなかったと感じたり。今日の街歩きは、なんだか人生のようですね。山から切り出した木材をストックする場所だったそうだ。「今からあそこに登りますよ」「えっ!?」カズさんの一言に、思い切りうろたえる私。いつかはサバイバルでスリリングな場面に遭遇するだろうと思ってはいたが、こんなに早く訪れるとは!しかし、そんな不安と葛藤は杞憂に終わる。高台の手前で終わっているように見えた道の脇に、階段3があったのだ。「こんな場所に階段があるなんて思わなかったでしょう」こちらの胸の内を見透かしたかのように、笑みを浮かべるカズさん。クライミングが始まらなくてホッとしたのは事実だが、高台に上がる階段も結構い景色があるらしい。横断歩道を渡って知事公舎の横の道をさらに下る。少し進んで左に曲がり、またさらに下る。私の知らない秋田。この街は千秋公園だけがポンと高くて、あとはほとんど平らな土地だと思っていた。「だいたいみんな、同じように言いますね。駅から繁華街を抜け、県庁・市役所に至る道が平らだから、そう思い込んでしまうのかな。だけど実際は、意外と起伏に富んでいるんです」上にマンションのような建物(JR鉄道アパート)。高台は〝北の丸〟といって、かつて殿様が暮らしていた時代、とカズさん。どうしても私に見せた神社の脇から続く急な坂道を下り、見上げると、緑で覆われた高台2の21 軽快に先に行くカズさん。待って!秋田の街の原型。城郭の地図。W u n d e r b a r !
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