Otto Vol.2
31/36

KAMENOCHOSTOREで開催中おじさんは映画で泣く。MOVCOLUMN毎月最終火曜日IE©        この映画の原作者はマガジンハウスの主人公である新人編集者役の妻夫木しかし物語が進むほどに徐々に気づコーロキは仕事や恋愛に盲目的に邁同世代の活躍している有名人に憧れ、同時に嫉妬しながらも、自分にできることを見つけ、日々コツコツ頑張ってきた。世界を自分に合わせるのではなく、自分を世界に合わせることで帳尻を合わせてきた。大人になるというのはそういうことで、それが正しいことだと思って生きてきたし、そのことを肯定する映画になっていたとも思う。しかし、終盤に突然現れる若いコーロキの、バカで世間知らずだけど、純粋で屈託のない笑顔のシーンを観ているうちに、自分でも驚くほどの涙が流れた。まるで過去の自分から、いまの生き方を問われているような、そんな不思議な気持ちになったのだ。ジャンルの好き嫌いなく映画を観るようにはしていても、若い人向けに最適化された恋愛映画はなんとなく避けてきた。しかしよく考えてみるとすべての大人はかつて「若い人」だったのだ。自分には無関係だと思っていることが、実はもっとも必要だったりすることがある。おじさんにとって恋愛映画とはそういうものかも知れない。(編集部) 『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』は邦画の恋愛コメディ映画。このジャンルを観に劇場に足を運ぶことはめったにないのだが、仕事に関係があるという理由で鑑賞した。伝説的雑誌「リラックス」のライターだった渋谷直角さん。1975年生まれで筆者とほぼ同い年の彼が、自分の過去の経験を注ぎ込んだ同名漫画が原作である。聡くん演じるコーロキの不器用な仕事っぷりに爆笑し、とんでもない女性に惚れて翻弄するその姿に悲哀を感じてはさらに爆笑した。く。この映画は「若い人向けの恋愛コメディ」というジャンルではあるけれど、同時に「青春を通過したすべてのおじさんの共感物語」でもあるということを。進するが、さまざまな現実にぶち当たるにつれて少しずつ成長していく。僕たちおじさんもずっと、周りの人間やin KAMENOCHO STORE○東宝・SMA提携作品 ○制作/「民生ボーイと狂わせガール」制作委員会○制作プロダクション/ホリプロ オフィスクレッシェンド ○制作協力/東宝映画○配給/東宝 Akitacity MinamiSt. Movie Trailers Festival29奥 田 民 生 に憧 れる、ライフスタイル 雑 誌「 マレ」の編 集 者「コーロキ・ユウジ( 妻 夫 木 聡 )」が 、仕 事 先で 出 会った「 天 海あかり( 水 原 希子 )」と恋に落ちる。しかし彼 女は最 強の魔 性の 女 で あった 。自 由 奔 放 な 彼 女 に 振り回され、ボロボロになりながら成 長していく物語。2017年9月16日公開/上映時間100分●監 督/大根仁●出演者/妻夫木聡、水原希子、新井浩文     安藤サクラ 他

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る