「すみません、時間を忘れて話し込んでしまいました。お会計をお願いします」「大丈夫ですよ。店の名刺にも18時〜とこの店はビートルズだけじゃなく、一応、蕎麦もウリでやっているんです。ぜひ食べていってください」おいしい蕎麦を求めて各地を回り、有名店で修行した経験を持つ店主の打つ蕎麦は、風味豊かで、心地よい喉越しを存分に楽しませてくれた。このおいしさは私にも分かる。美味は国境を超える!今日は新鮮な驚きの連続。うん、予備知識ゼロも悪くない。フォロワーの多さでは、ビートルズに勝る存在はないのではないだろうか。互いにファンであることを確認し合った私たちは、バンドの成り立ちと変遷、メンバーの志向と関係性、自分のベスト10ソング……せきを切ったように言葉を並べ続けたのだった。ふと時計に目をやると、閉店時間が迫っていた。あらためて時計を見ると、午前0時前。店内に残っていた全員が申し合わせたように席を立つと、店主が外の通りまで送ってくれた。「また来てください」「頻繁に来ると思います」それは決して社交辞令ではない、確信に基づくある種の宣言だった。一緒に店を出た東京の紳士に再会を、ジョン似の彼とは再訪の約束をし、私は満ち足りた気分で家路についた。「楽しいよ」話が途切れるやいなや、店内に流れるアイル・フォロー・ザ・サンに合わせ口ずさむジョン似の彼。「ビートルズ、好きですか?」「大好き。おじさんもファン?」「大ファンです」そして、きっと無意識にだろう。会語るべきテーマの多彩さと熱心な0523時〝頃〟って書いてあるので。それ 「旬のヤサイ天」850円まこと自慢の「手打ち蕎麦」700円 ※ 価格はすべて税 込です「馬刺ユッケ」850 円「ネギ塩ホルモン」850円「カツオ酒盗」400円L e c k e r !
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